もしも、エヴァの世界で「MAGI」がアシスタントAIだったら

エヴァ

特務機関NERV(ネルフ)本部の指令室に安置されている第七世代有機スーパーコンピュータ・システム。「メルキオール (MELCHIOR)」「バルタザール (BALTHASAR)」「カスパー (CASPER)」 という3つの独立したシステムによる合議制をとり、通常のコンピューターには不可能な人間の持つジレンマを再現しているのが特徴。

シンジ「MAGIに聞いてみようよ」アスカ「いいわよ」レイ「……」

シンジ「えっと、ここに質問を打ち込めばいいのかな?」

アスカ「そうじゃない?」

レイ「赤木博士はそうしていたわ」

シンジ「今日の献立は……ハンバーグでいいですか?っと」カタカタ

MELCHIOR・1『賛成』

BALTHASAR・2『賛成』

CASPER・3『条件付賛成』

シンジ「じゃあ、今晩はハンバーグだね」

アスカ「だから言ったでしょ」

レイ「私もお邪魔していいの?」

シンジ「勿論だよ。みんなで食べようよ」

数日後

シンジ「はぁ……」

レイ「碇くん、どうしたの?」

シンジ「今日はどっちの番組を見ようかなって。番組が被っているんだ」

レイ「録画じゃダメなの?」

シンジ「それをMAGIに訊いてみたんだ。結果は、あれ」

レイ「え?」

MELCHIOR・1『反対』

BALTHASAR・2『反対』

CASPER・3『リアルタイム推奨』

レイ「そう……」

シンジ「困ったよ」

レイ「大変ね」

別の日

アスカ「ふんふーん」カタカタ

アスカ「明日、シンジと買い物に行くけど服は何がいいかな?っと」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『ワンピース』

CASPER・3『ガーターベルト付ドレス』

アスカ「意見がバラバラじゃない。使えないわね

アスカ「もっといい意見くださいなっと」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『ワンピース』

CASPER・3『勝負下着』

アスカ「ダメね。もういいわ。ワンピースにしとこ」スタスタ


リツコ「……」

ミサト「ふわぁぁぁ」

リツコ「ミサト」

ミサト「どうしたのー?怖い顔してぇ」

リツコ「最近、MAGIが頻繁に使用されているわ」

ミサト「誰に?」

リツコ「貴方の子供たちに」

ミサト「シンジくんやアスカのこと?」

リツコ「そう」

ミサト「べっつにいいんじゃないのー?非常時に使われるのはアレだけど」

リツコ「あれは玩具じゃないのよ?」

ミサト「わかったわ。言っとく」

リツコ「お願いね」

葛城宅

ミサト「―――というわけで、MAGIはあまり使っちゃダメよん?」

レイ「碇くん。お肉……あげるわ」ヒョイ

シンジ「あ、ごめん。気が利かなくて」

アスカ「もったいない。美味しいのに」

シンジ「ありがとう、アスカ」

アスカ「べ、別にアンタの料理が上手いとかいってないでしょ!!勘違いしないで!!」

レイ「お味噌汁……美味しい」

シンジ「おかわりならあるから」

レイ「ええ」

アスカ「おかわりっ!!」

シンジ「はいはい」

ミサト「一応、言ったからねー。知らないわよー?」

別の日

レイ「……」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『ファイト』

CASPER・3『大丈夫』

レイ「……」グッ

マヤ「何をしているの?」

レイ「あ……!」

マヤ「……?」

レイ「……なんでも、ありません」タタタッ

マヤ「変なの」

マヤ「最近、MAGIが頻繁に使用されているのってやっぱり、あの子達が……」

マヤ「どんなことを訊いているのか、ログでも辿ってみようかな……」カタカタ

リツコ「マヤ?」

マヤ「……」

リツコ「マヤ?」

マヤ「え?あ、せ、先輩!!」カタカタカタカ

リツコ「何をしているの?」

マヤ「え?な、なんでもありま……せんっ!」ターンッ!!

リツコ「何か不都合なものでも消去したのかしら?」

マヤ「いえ、とんでもありません」

リツコ「そう」

マヤ「はぁ……」

リツコ「MAGIの調子は?」

マヤ「だ、大丈夫です」

リツコ「そう」

マヤ(もう……エヴァのパイロットたちはMAGIを花占いかなにかと勘違いしてるの……?)

別の日

アスカ「最近、面白いことがないのよねー」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『それで?』

CASPER・3『男漁り推奨』

アスカ「シンジもあのえこ贔屓ばかり気にしてるみたいなのよねー」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『貴方のことも見ていると思う』

CASPER・3『夜這い推奨』

アスカ「そうかしら……」

リツコ「アスカ?」

アスカ「え?」

リツコ「MAGIは玩具じゃないの?いい?」

アスカ「はいはい。わかったわよ」スタスタ

リツコ「全く……」

ミサト「今日は微糖にしておこうかしら」ピッ

リツコ「ミサト」

ミサト「どうしたのよ?」

リツコ「ちゃんと注意してくれたの?」

ミサト「したわよ。失敬ね」

リツコ「でも、エスカレートしているわ。もう一度、きちんと言っておいて」

ミサト「はいはい。りょーかい」

リツコ「もう……」スタスタ

ミサト「うーん……確かにこれ以上、リツコの胃に負荷を与えるのはちょっち、まずいか」

ミサト「でもなぁ……」

ミサト「正直、最近どうしていいかわからないのよね……」

ミサト「……あ、そーだ」

ミサト「中学生に注意するとき、どうしたらいいですかっと」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『難しい問題。でも、それは貴方がどれだけ子どものことを思っているかの問題でもある。一度真剣にテーブルを囲い、話し合うべき』

CASPER・3『鳩尾を殴る』

ミサト「参考になるようなならないような……」

シンジ「あれ?ミサトさん」

ミサト「シンジくん、どうしたの?」

シンジ「あ、ちょっと課題でわからないところがあって。MAGIに訊ねてみようかなって」

ミサト「そうなの。どうぞ」

シンジ「すいません。―――えっと」カタカタ

MELCHIOR・1『12』

BALTHASAR・2『12』

CASPER・3『無回答』

シンジ「そっか。ここの答えは12か。確かにそうだ。ありがとう」

ミサト「あー、ちょっとまって」

シンジ「はい?」

ミサト「リツコが結構、カンカンに怒ってるのよね」

シンジ「どうしてですか?」

ミサト「MAGIを無断で使用しているから」

シンジ「ダメなんですか?結構、便利なんですけど」

ミサト「んー、まあ、MAGIはネルフそのものって言ってもいいから、リツコは過敏になっているんでしょうね」

シンジ「そうですね。これから気をつけます」

ミサト「ええ、そうして。あと、できればアスカにも伝えておいて」

シンジ「はい」

ミサト「よしよし」

ミサト「そうよね。シンジくんはいい子なんだから、目を見て話せば分かってくれるのよね」

ミサト「さーてと、私も仕事に戻りましょうか」

別の日

レイ「……」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『ラブレター』

CASPER・3『S○X』

レイ「……」オロオロ

シンジ「綾波」

レイ「きゃっ!?」ガタッ

シンジ「え?」

レイ「あ、ご、ごめんなさい」

シンジ「何してたの?」

レイ「見ないで!!」

シンジ「あ、ご、ごめん……」

レイ「私のほうこそ……ごめんなさい……それじゃあ」タタタッ

シンジ「綾波……?」

シンジ「綾波……何してたんだろう……?」

MELCHIOR・1『』

BALTHASAR・2『』

CASPER・3『』

シンジ「……」

シンジ「……綾波は何をしていたんですか」カタカタ

MELCHIOR・1『回答拒否』

BALTHASAR・2『回答拒否』

CASPER・3『回答拒否』

シンジ「ダメか……」

リツコ「シンジくんっ」

シンジ「あ……」

リツコ「何をしているの?」

シンジ「す、すいません。あの……これは……」

リツコ「これは玩具じゃないの。何度も言わせないで」

シンジ「す、すいません」

リツコ「もう……」カタカタ

リツコ「ん……?好きな人に想いを伝える方法……?シンジくん?」

シンジ「は、はい?」

リツコ「こういうことは、自分で考えなさい。コンピューターに頼らないで」

シンジ「は、はい。すいませんでした」

リツコ「午後はカレーパンがいいかとか、最近眠れないとか、上司がむかついたときの対処法だとか、くだらないことをMAGIに訊かないで」

シンジ「はい……すいません……」

リツコ「なによ……似合う眼鏡をおしえろください、とか。ありえないわ」

シンジ「それは……僕じゃ……」

リツコ「とにかく。MAGIの私的利用は厳禁。いい?」

シンジ「わかりました」

リツコ「もう……」

葛城宅

ミサト「ありゃ、リツコに捕まったの?運がなかったわねー」

シンジ「結構、怖い人ですね。淡々とした口調で怒られました」

ミサト「リツコはねー。そういうとこあるわー」

アスカ「こっそり使えばバレないでしょ?」

シンジ「それが質問したことってログが残るみたいなんだ」

アスカ「え……」

シンジ「だから、誰が質問したかは分からないけど、どんな質問をしたのかはバレるよ?」

アスカ「な、なんだ……それなら別にいいじゃない」

ミサト「アスカー?あまり、リツコを困らせないでね?あれでも毎日仕事に追われてるんだから」

アスカ「はいはい。分かってる」

シンジ「当分、MAGIはお預けかな……」

別の日

レイ「い、碇くん」

シンジ「なに、綾波?」

レイ「これ……読んでくれると……嬉しいわ」スッ

シンジ「え……」

レイ「そ、それじゃあ」タタタッ

シンジ「綾波!!」

シンジ「これ……なんだろう……手紙……?」

シンジ「茶封筒に入ってるし……もしかして、辞令とかかな……?」

シンジ「……」ペラッ

シンジ「……」

シンジ「……っ」ダダッ!!

マヤ「最近、先輩が構ってくれないんですよね」カタカタ

MELCHIOR・1『無関心』

BALTHASAR・2『仕事を優先するタイプだから気にしないほうがいい』

CASPER・3『ベ口チュー推奨』

マヤ「はぁ……」

シンジ「あ、あの!!」

マヤ「シンジくん?どうしたの?」

シンジ「緊急事態なんです!!MAGIの使用許可をください!!」

マヤ「え……でも……」

シンジ「お願いします!!!」

マヤ「あの、そんな!!頭をあげて!!使っていいから、ね?」

シンジ「ありがとうございます!!」

マヤ「でも、どうしてそんなに慌てて……」

シンジ「綾波の様子がおかしいんです!!」

マヤ「え……?」

シンジ「僕の話を聞いてください!!」カタカタ

MELCHIOR・1『承認』

BALTHASAR・2『承認』

CASPER・3『承認』

シンジ「ありがとうございます!!」カタカタ

MELCHIOR・1『質問事項入力可』

BALTHASAR・2『いえいえ』

CASPER・3『礼は不要』

シンジ「綾波から『セ○クス』とだけ書かれた紙をもったらんです!!これはどういうことでしょうか?!」カタカタ

MELCHIOR・1『思案中』

BALTHASAR・2『回答模索中』

CASPER・3『綾波氏の股開き』

シンジ「お願いします……」

マヤ「ど、どういうこと……?あのレイが……そんなメモ紙をシンジくんに……?


シンジ「何か綾波に助言しましたか?」カタカタ

MELCHIOR・1『回答拒否』

BALTHASAR・2『回答拒否』

CASPER・3『回答拒否』

シンジ「回答拒否ということは、助言したんですね?」カタカタ

MELCHIOR・1『拒絶』

BALTHASAR・2『拒絶』

CASPER・3『拒絶』

シンジ「これ、どう返事をしたらいいんですか?教えてください」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『そっとしてあげるべき』

CASPER・3『その紙にOKと書いて返却する』

シンジ「くそ……どうしたら……!!」ガンッ

マヤ「シンジくん……」

アスカ「あれ?なにやってんの?」

シンジ「アスカ……」

アスカ「ちょっと使わせてねー」

マヤ「ああ。そんな勝手に……」

アスカ「大事なことなのよ。―――えっと、髪型を変えようと思うんだけど、どういうのがいいかしら?」カタカタ

MELCHIOR・1『本人に訊け』

BALTHASAR・2『本人に訊きなさい』

CASPER・3『碇シンジに訊けばいい』

アスカ「ちょっと?!」

シンジ「え?どういうこと?」

マヤ「あ……」

アスカ「なんてこというのよ!!このポンコツ!!!」カタカタ

MELCHIOR・1『怒』

BALTHASAR・2『っ』

CASPER・3『た』

アスカ「ひっ……!!」ビクッ

シンジ「アスカ、MAGIを怒らせちゃダメじゃないか」

アスカ「だって、こいつが!!」

シンジ「それよりも綾波のことだよ」

アスカ「それよりって何よ……」

マヤ「あの。あまり変な質問はしないほうが」

シンジ「でも、一大事なんです」

マヤ「確かにそうかもしれないけど」

アスカ「何があったのよ?」

シンジ「僕の取るべき行動は?」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『真剣に想っているなら今はそっとしてあげるべき。回答はまだ出さなくてもいい』

CASPER・3『ベッドに誘う』

シンジ「……わかりました」

マヤ「シンジくん?」

アスカ「ちょっと。どこ行くのよ?」

レイ(あれでよかったかは分からない……でも、気持ちは伝わったはず……)

シンジ「綾波」

レイ「あ……碇くん……」

シンジ「……こっちに」

レイ「え?」

シンジ「一緒に来てほしいんだ」

レイ「どこにいくの?」

シンジ「休憩室。そこにベッドがあるから」

レイ「え……」

シンジ「行こう」

レイ「え、ええ……」

シンジ「……」スタスタ

レイ「……」ドキドキ

休憩室

シンジ「寝て」

レイ「え……?」

シンジ「ベッドに寝て」

レイ「わ、わかったわ……」

シンジ「……」

レイ「これでどうするの……?」

シンジ「寝ようか?」

レイ「碇くん……!?」

シンジ「綾波……寝よう」

レイ「でも……ここでは……」

シンジ「嫌なの?」

レイ「そんなこと……ないわ……」

シンジ「じゃあ、目を瞑って」

レイ「ええ……お、おねがい……優しく……」

マヤ「はぁ……ログの消去はしておかないと」

アスカ「大変ねー」

マヤ「誰の所為だと―――」

シンジ「……」

アスカ「あら。おかえり」

マヤ「シンジくん。レイの件は?」

シンジ「大丈夫です。ちゃんとベッドに誘って、そっとしておきましたから」

アスカ「はぁ?」

シンジ「きっと、綾波は疲れてたんだ。だから、こんな物を……」

マヤ「そうかもしれませんね。最近、使徒の侵攻もあれば、連日訓練もしてたから」

シンジ「はい」

アスカ「で、シンジ?」

シンジ「なに?」

アスカ「あ、あんたの好みのヘアースタイルとか……あるわけ?」

シンジ「どうしたの?……でも、特にないかな。その人に似合っていれば、それでいいと思うけど」

休憩室

レイ「……」

レイ「……」チラッ

レイ「……!?」ガバッ

レイ「碇くん……?」

レイ「碇くん……?」キョロキョロ

レイ「そう……」

レイ「……」ウルウル

レイ「碇くんは……そうなのね……」ウルウル

レイ「あ……私……泣いてる……」ポロポロ

レイ「これが……涙……」

レイ「胸が……苦しい……どうしたらいいの……?」

レイ「……碇くんに好かれていない可能性はある?」カタカタ

MELCHIOR・1『回答不可』

BALTHASAR・2『その可能性は低い。貴方の気持ちは届いている』

CASPER・3『しらね』

レイ「そう……」

レイ「どうしたら……もっと、碇くんに近づける……?」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『ラブレター』

CASPER・3『S○X』

レイ「でも、それだと同じことになる」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『押しの1手』

CASPER・3『S○X』

レイ「……ラブレターにはなんて書けばいいの?」カタカタ

別の日

リツコ「ふぅー……」カタカタ

マヤ「先輩」

リツコ「どうしたの?」

マヤ「あの……最近、MAGIの様子が……」

リツコ「何か問題でも発生した?」

マヤ「いや、そういうわけじゃないんですけど……」

リツコ「報告ははっきりね」

マヤ「は、はい。実は―――」

ミサト「リツコ」

リツコ「次はミサト?」

ミサト「ちょっと」

リツコ「わかったわ。マヤ、その話、あとで詳しく聞かせて」

マヤ「は、はい」

リツコ「どうしたの?」

ミサト「これ」

リツコ「え?MAGI?」

ミサト「ちょっち様子が変なのよ。今後の作戦シミュレートで使用してみようと思ったんだけど」

リツコ「どう変なの?」

ミサト「見てて。―――使徒がポイントAに出現。エヴァ三機をP地点からG地点へ移動させ、攻撃を加え殲滅を試みる。その作戦の成功確率は?」

MELCHIOR・1『25%』

BALTHASAR・2『25%強』

CASPER・3『2番バッターの打率程度』

リツコ「……?」

ミサト「ね?」

リツコ「真面目に答えて」カタカタ

MELCHIOR・1『真』

BALTHASAR・2『剣』

CASPER・3『よ』

ミサト「どーしちゃったのかしらね」

リツコ「……」

ミサト「まあ、確率を出すだけなら問題はないんだけど」

リツコ「わかったわ。あとは任せて」

ミサト「ごめんね」

リツコ「それが仕事ですもの。ああ、それからマヤを呼んできて」

ミサト「ほいほーい」

リツコ「何が原因?」カタカタ

MELCHIOR・1『回答拒否』

BALTHASAR・2『回答拒否』

CASPER・3『拒絶』

リツコ「まあ、今からそれを探るけど」

マヤ「先輩」

リツコ「手伝ってくれる?」

マヤ「は、はい」

アスカ「アンタ、バカぁ?それじゃあ、ダメなのよ。あたしが活躍できないでしょ?」

シンジ「でも、これはミサトさんが―――」

レイ「碇くん……」

シンジ「綾波」

アスカ「む……」

レイ「あの……これ」スッ

シンジ「え?」

レイ「読んで……くれると嬉しいわ」

シンジ「あ、うん」

アスカ「なによ?この茶封筒?辞令?」

レイ「それじゃあ、また」タタタッ

アスカ「何よ、あいつ。かんじわるぅ」

シンジ「……」ペラッ

アスカ「……」ソーッ

シンジ「碇くんへ……私は碇くんとベッドに入りたいです……?」

アスカ「ぶふっ?!」

シンジ「あ!!アスカ、見ないでよ!!」

アスカ「ちょっと!!見せなさいよ!!それ!!」

シンジ「やめてよ、アスカ!!」

アスカ「いいから!!」バッ

シンジ「アスカっ!」

アスカ「碇くんへ……私は碇くんとベッドに入りたいです。ベッドに入って何をするかというと、オセロです……?」

シンジ「ちょっと!!アスカ!!返してよ!!」

アスカ「いいから!!―――二人で横になってオセロがしたいです。それはきっと気持ちいいことだと思います」

アスカ「今度は二人でオセロをしながら、寝ましょう。S○X綾波より」

アスカ「なにこれ?」

シンジ「しらないよ」

アスカ「はぁ……ラブレター……にしては怪文書だし……」

シンジ「綾波、まだ疲れてるのかな?」

アスカ「……」

リツコ「……」カタカタ

MELCHIOR・1『承認』

BALTHASAR・2『承認』

CASPER・3『承認』

マヤ「問題ないみたいですね。回答の表示がおかしかったのは……」

リツコ「くだらない質問に答えすぎて、回答パターンが混乱していただけね」

マヤ「そうですか」

リツコ「全く、『今日のスーツはどれがいいか』『新しい眼鏡はキマっているか』『最近、部下の気持ちが分からない』とか、MAGIをなんだと思っているのかしら」

マヤ「そうですね」

リツコ「最近で一番酷いのは『ラブレターの書き方を教えて』ね。MAGIからじゃあ、いい回答なんて得られないわ。ナンセンスよ」

マヤ「そうなんですか?」

リツコ「得られた回答で文章を作れば怪文書になるでしょうね」

マヤ「はぁ……」

リツコ「でも、これでいいわ。マヤ。あまり不用意にMAGIに触らせないようにしてね?」

マヤ「わ、わかりました」

マヤ「先輩……今日もカリカリしてましたね」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『いつものこと』

CASPER・3『ああいう奴』

マヤ「私のことはやっぱり部下としてしか見てないんでしょうか……」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『きっと貴方の人間性も理解しているはず』

CASPER・3『目の前で脱いで反応を見る』

マヤ「なるほどぉ……でも、脱ぐのはちょっと……」カタカタ

MELCHIOR・1『いくじなし』

BALTHASAR・2『臆病者』

CASPER・3『小心者』

マヤ「ひどい……」ウルウル

シンジ「あの~」

マヤ「え?シンジくん?どうしたの?」

シンジ「MAGI、使わせてくれませんか?」

マヤ「ごめんね。先輩からダメだって言われてて」

シンジ「じゃあ、あの僕の代わりに訊いてもらえませんか?」

マヤ「え……ああ、それならいい、のかな?」

シンジ「えっと、綾波がベッドでオセロをしようと言ってきたんですがそれはどういう意味で、僕がどうしたらいいのか、を」

マヤ「ちょっと、待って。ええと……碇シンジが綾波レイにベッドでオセロをしようと誘われた。その意味と、碇シンジが取るべき行動は?」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『綾波レイに言われた通り、ベッドでオセロをすること。そこで彼女の気持ちを聞く』

CASPER・3『ベッドで抱く』

マヤ「とのことですけど」

シンジ「もう一つだけいいですか?」

マヤ「え、ええ」

シンジ「綾波は僕に何を求めているのか……」

マヤ「ちょっとまって……」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『それは本人から聞きなさい』

CASPER・3『S○X』

シンジ「わかりました」

マヤ「もういいの?」

シンジ「はい。無理を聞いてもらって、ありがとうございます」

マヤ「いえいえ」

シンジ「……」スタスタ

マヤ「今時の中学生って色々大変なんだ……」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『中学生は大人と少年の狭間で揺れている頃。その迷い子を上手く導くのが大人の務め』

CASPER・3『実際のところ股○でしか物事考えてないから、気にするだけ無駄』

マヤ「ふーん……」

アスカ「ちょっと」

マヤ「え?次はアスカ!?」

レイ「……」

シンジ「綾波」

レイ「碇くん……」

シンジ「休憩室に行く?それとも……自宅のほうがいいかな?」

レイ「……」

シンジ「オセロ、したいんだろ?」

レイ「でも……」

シンジ「どうしたの?」

レイ「優しく……してくれる?」

シンジ「うん」

レイ「じゃあ……私の家にきて」

シンジ「いいの?」

レイ「オセロ……ないけど」

シンジ「オセロなら帰りに買って帰ろう」

レイ「ええ」

アスカ「あたしもラブレターを書きたいの!!」

マヤ「えっと……誰に?」

アスカ「だ、誰でもいいでしょ!!早く訊いて!!」

マヤ「はい。―――アスカがラブレターを書く場合、どうしたらいいか?」

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『どういう相手に出すかで変わる』

CASPER・3『相手を言え』

マヤ「って、MAGIは回答してます」

アスカ「えっと……ちょっと内向的で、ネガティブで、料理はうまくて、たまに優しいところがあるのよ」

マヤ「……相手は碇シンジ」カタカタ

アスカ「なんでそうなるのよ!!!」

MELCHIOR・1『大好き』

BALTHASAR・2『碇シンジへ。貴方のことが大好きです。とても好きです。好きすぎて夜も眠れません』

CASPER・3『S○X』

アスカ「……」メモメモ

綾波宅

シンジ「お邪魔します」

レイ「どうぞ」

シンジ「ごめん」

レイ「何か飲む?」

シンジ「お茶でいいよ」

レイ「分かったわ」

シンジ「……」

レイ「どうぞ」

シンジ「ありがとう」

レイ「……」

シンジ「……えっと」

レイ「お風呂、入るわ」

シンジ「え?!」

レイ「少し汗かいたから」

シンジ「……」

レイ「おまたせ」

シンジ「あ、ああ……うん」

レイ「碇くんも、お風呂入る?」

シンジ「えっと……」

レイ「……着替えは、ないけど」

シンジ「えっと……じゃあ、入ろうかな」

レイ「そう」

シンジ「じゃあ……えっと……借ります……」

レイ「ええ。ゆっくりでいいわ。私は準備しておくから」

シンジ「うん」

レイ「……」

レイ「オセロ……開封しておかないと」ビリビリ

マヤ「もういいですか?」

アスカ「まだよ。もう一文。相手の心を鷲掴みにする一言がほしいの!!」

マヤ「心を鷲掴みにする一言をお願いします」カタカタ

MELCHIOR・1『回答不能』

BALTHASAR・2『貴方の傍にいるだけでいい。私はそれで幸せなの。大好きよ……シンジ』

CASPER・3『股が疼くのでS○X』

アスカ「……」メモメモ

マヤ「もういい?見つかると怒られるの」

アスカ「ええ。いいわ。ありがと!」タタタッ

マヤ「はぁ……もう、中学生って一人でラブレターも書けないのでしょうか?」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『可愛いと思う』

CASPER・3『子どもは猿だから、性のことしか考えてない。故に文章が書けない』

マヤ「なるほど」

ゲンドウ(まだいるな……あとにするか……)

シンジ「綾波。こっちにおいでよ」

レイ「ええ」

シンジ「これは枕の位置に置こうか」

レイ「碇くん、寝れる?」

シンジ「大丈夫だよ。ありがとう」

レイ「もう少しこっちに寄らないと落ちるわ」

シンジ「え、でも……」

レイ「私は構わないから」

シンジ「じゃあ……」

レイ「……」

シンジ「じゃあ・・・始めようか?」

レイ「ええ……」

シンジ「行くよ?」

レイ「……」コクッ

シンジ「―――僕が黒ね」パチッ

レイ「あ、そこ……」

シンジ「ごめん。ダメだった?」

レイ「……大丈夫。ここがあるわ」

シンジ「あ。酷いよ。綾波」

レイ「……これで形勢逆転ね」

シンジ「綾波、こういうの得意なんだね」

レイ「初めてだけど」

シンジ「そうなんだ。信じられないよ」

レイ「そう?」

シンジ「うん」

レイ「……次、碇くんの番」

シンジ「綾波」

レイ「なに?」

シンジ「……」ギュッ

レイ「い、かり……くん?」

シンジ「綾波……」ギュゥゥ

レイ「碇くん……どうしたの……オセロ……」

シンジ「綾波、疲れてるの?」

レイ「え?」

シンジ「ごめん。気づいてあげられなくて」

レイ「……」

シンジ「綾波の気持ちなんて今まであまり考えたことがなかった気がする」

レイ「そう……」

シンジ「だから……今、聞けるなら綾波の気持ち、聞きたいって思う」

レイ「碇くん……」

シンジ「だ、ダメかな?」

レイ「ダメではないけど……どうして、抱きしめるの?」

シンジ「え?ごめん!嫌、だよね」

レイ「ううん……安心するから……碇くんの匂い……。もう少し……このまま……」

シンジ「わ、わかったよ……」

レイ「碇くん、ここ……いいわ」

シンジ「でも……綾波が……」

レイ「碇くんの好きにして」

シンジ「そう……じゃあ、ここを……」

レイ「あ……」

シンジ「え?やっぱり、ダメだった?」

レイ「まさか。こんなになるなんて」

シンジ「読みが甘かったね」

レイ「そうね……碇くん……私の負けね……」

シンジ「綾波……何か、辛いことであった?」

レイ「いいえ」

シンジ「じゃあ、あの手紙は?」

レイ「ごめんなさい……碇くんを困らせた?」

シンジ「そ、そんなことはないけど。もしなにかあるなら、僕でよければなんでも話してほしいなって」

レイ「ありがとう……嬉しい。碇くん、もう一回、しましょ?」

ゲンドウ「……」

ゲンドウ「よし」

ゲンドウ「息子が私を避ける……どうしたらいいのか」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『貴方が逃げているだけ』

CASPER・3『女がいる』

ゲンドウ「女だと?どういうことだ?」カタカタ

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『本人から聞きなさい』

CASPER・3『エヴァのパイロットにガキが二匹いる。そいつらが股を開いて誘惑してる』

ゲンドウ「バカな……弐号機パイロットはともかくレイはありえない」カタカタ

MELCHIOR・1『綾波レイは腐れビッチ』

BALTHASAR・2『あの女こそ魔女』

CASPER・3『腐れオマ○コ』

ゲンドウ「なに……!!レイは……違う!!」ダンッ

ゲンドウ「では……息子の態度がおかしいのはレイの所為だというのか?」カタカタ

MELCHIOR・1『まさに』

BALTHASAR・2『その』

CASPER・3『通り』

ゲンドウ「証拠はあるのか?」

MELCHIOR・1『先日、綾波レイが碇シンジ宛に卑猥なラブレターを送っている。それを参照』

BALTHASAR・2『綾波レイは中学生らしからぬ文章を書き綴り、碇シンジを篭絡させた』

CASPER・3『淫語を使って碇ゲンドウの息子の息子を元気にしてた。あれは酷い。S○X綾波(笑)』

ゲンドウ「まさか……弐号機パイロットもか?」カタカタ

MELCHIOR・1『イエス』

BALTHASAR・2『あの子も碇シンジを落とそうとしている。骨抜きにしようとしている』

CASPER・3『レイは腐れオマ○コ。アスカは腐れオ○ンコ』

ゲンドウ「そうなのか……あの二人が……」

ゲンドウ「事実を確認せねばな……」

レイ「碇くん……楽しかったわ」

シンジ「そ、そう?綾波の役に立てたのかな?」

レイ「もう大丈夫。胸の奥がポカポカするから」

シンジ「ど、どういうこと?」

レイ「きっと、これが幸せなんだと思う」

シンジ「綾波……」

レイ「碇くん……また、してくれる?」

シンジ「うん。いつでもいいよ」

レイ「嬉しい……」

シンジ「それじゃあ、また明日ね」

レイ「ええ。おやすみなさい」

シンジ「おやすみ、綾波」

バタンッ

レイ「……碇くん……」

レイ「これが……好き……?」

葛城宅

ミサト「シンちゃーん。ビール!!」

シンジ「はーい」

アスカ「シ、シンジっ!」

シンジ「なに?」

アスカ「こ、これ……」スッ

シンジ「なにこれ?」

アスカ「いいから、受け取りなさいよ!!」

シンジ「う、うん」

アスカ「それじゃあ、おやすみっ!!!」ダダダッ

シンジ「……?」

ミサト「なぁーに?アスカから愛のメッセージぃ?」

シンジ「まさか」ペラッ

シンジ「えっと……シンジへ……」

シンジ「S○X大好き……?」

翌日 ネルフ本部

シンジ「碇シンジです」

ゲンドウ「入れ」

シンジ「あの……なんでしょうか?」

冬月「少しばかり耳を疑うことをきいてね」

シンジ「え?」

ゲンドウ「零号機パイロット及び弐号機パイロットから何か手紙、或いはメモのようなものは受け取ったか?」

シンジ「あ、はい……」

ゲンドウ「それはどうした?」

シンジ「家にありますけど」

ゲンドウ「そうか」ガタッ

シンジ「え?父さん?なに?」

ゲンドウ「冬月」

冬月「ああ、留守は任せろ」

シンジ「父さん!!説明してよ!!父さん!!」

葛城宅

ゲンドウ「どこだ?もってこい」

シンジ「わ、わかったよ……ちょっと待ってて」

ペンペン「クェッ!」

ゲンドウ「……」

ペンペン「クェ!クェ!」ヨチヨチ

ゲンドウ「……」

ペンペン「クェ~?」

ゲンドウ「……」ナデナデ

ペンペン「クエーッ!!!」ペシッ!!!

ゲンドウ「……っ」

ペンペン「クエー」ヨチヨチ

ゲンドウ「あ……行ってしまったか……」

シンジ「父さん、持ってきたよ」

ゲンドウ「見せろ」

ゲンドウ「これはレイのものか?」

シンジ「そうだけど……」

ゲンドウ「では、こっちが……」

シンジ「アスカが書いたものだけど」

ゲンドウ「……」

シンジ「父さん?」

ペンペン「クエ?」

ゲンドウ「シンジ、これを貰ってどうした?」

シンジ「えっと。アスカに対してはなにも。綾波は……えっと……」

ゲンドウ「……したのか?」

シンジ「……うん」

ゲンドウ「そうか……わかった。戻るぞ」グイッ

ペンペン「クエー?!」ジタバタ

シンジ「父さん?!ペンペンをどうするのさ?!」

ゲンドウ「……」スタスタ

司令室

ゲンドウ「……」ギュゥゥ

ペンペン「グェェ……」

シンジ「ペンペンが苦しそうだよ?」

レイ「入ります」

アスカ「入ります」

ゲンドウ「来たか……」

レイ「なんでしょうか?」

アスカ「あれ……なんでペンペンを司令が抱きかかえてるわけ?」

シンジ「知らない」

ゲンドウ「単刀直入に訊く。―――これはなんだ」

レイ「え……」

アスカ「それは……シンジに渡した……」

冬月「内容は確認させてもらった。おおよそ、中学生が書くような文言ではないな」

ゲンドウ「説明しろ。これでシンジをどうするつもりだった?」

レイ「え……?」

アスカ「どうしようも……なにも……それは……」

ゲンドウ「なんだ?」ギュゥゥ

ペンペン「グェ……」

レイ「……ラブレターです」

シンジ「え?!」

アスカ「……あ、たしのも……です」

シンジ「えぇぇ?!」

ゲンドウ「ラブレター……恋文か……これがか?冬月、どう見る?」

冬月「綾波レイのはまだ許せるが、アスカのは厳しいな」

ゲンドウ「読み上げろ」

アスカ「え?」

ゲンドウ「この恋文に書かれていることを、読み上げろと言った」

アスカ「ど、どうして……」

シンジ「父さん!!何を考えてるんだよ!!そんなのできるわけないよ!!!」

ゲンドウ「黙っていろ」

シンジ「でも!!」

ゲンドウ「もしこれが碇シンジの精神状態を狂わせる計略だろすれば、看過はできない」

アスカ「そんなこと……」

シンジ「父さん!!」

ゲンドウ「読め」

アスカ「……っ」

レイ「司令……あの……」

ゲンドウ「レイも黙っていろ」

レイ「は、はい……」

シンジ「アスカ……」

アスカ「わかりました。読みます。読めばいいんでしょ?」

ゲンドウ「ああ……」

アスカ「ふぅー……」

アスカ「シンジへ。あたしはS○Xが大好きです。とても好きです。好きすぎて夜も眠れません』

ゲンドウ「……」

冬月「……」

アスカ「いつもそのことだけを考えています。ああ、シンジ。これが私の想いです」

レイ「……」

シンジ「……」

アスカ「貴方が傍にいるだけで股が疼く。私はそれで幸せなの、シンジ大好き」

ゲンドウ「……」

アスカ「い、以上です」

ゲンドウ「どうだ?」

アスカ「な、なにがですか?」

ゲンドウ「自分で読んでみて。どう思った?」

アスカ「……色々変だなーって」

ゲンドウ「そうだ。これは明らかに常軌を逸した文章だ」

アスカ「……」

ゲンドウ「もう一度、問う。これをシンジに渡し、何がしたかったんだ?」

アスカ「えっと……」

ゲンドウ「答えろ」ギュゥゥゥ

ペンペン「グェェ!!!!」

アスカ「……シンジのことが好きなのよ!!文句あるの?!」

ゲンドウ「……?!」パッ

ペンペン「クェェ!!!」テテテテッ

シンジ「アスカ!!!」

アスカ「ふぅー……ふぅー……!!」

レイ「落ち着いて」

アスカ「なによ!!どうしていいか分からなかったんだからしょうがないでしょ!!!」

アスカ「誰かがあたしを差し置いて、勝手にリードするから焦って、もうなんでもいいから頼りたかったの!!」

冬月「おい……」

アスカ「あ!?」

冬月「……っ」ビクッ

アスカ「これ書いてるときはこれでいいって思うくらい混乱してたの!!!別にそれ以外の思惑なんてないわよ!!いい加減にしてっ!!!」

シンジ「アスカ……あの……」

アスカ「ふぅー……ふぅー……」

レイ「どうどう」

アスカ「あたしは馬か?!」

レイ「ごめんなさい」

ゲンドウ「……つまり、あれか……?」

アスカ「あぁ?!」

ゲンドウ「……っ」ビクッ

アスカ「すいませんでした。あたしが悪かったです。こんなもの書いて……」ビリビリ

シンジ「アスカ……何も破らなくても……」

アスカ「もういいですか?」

ゲンドウ「え?」

アスカ「もう!いいですか?!」

ゲンドウ「あ、ああ……」

アスカ「失礼しましたっ!!」スタスタ

ペンペン「クェー……」

アスカ「行くわよ!!」

ペンペン「クエッ!!」

ゲンドウ「……怒らせてしまったか」

冬月「そのようだな」

レイ「……」

シンジ「父さん!!」

ゲンドウ「ペンペンにはあとで謝罪をしておいてくれ」

シンジ「アスカには?!」

ゲンドウ「私が悪いのか?」

冬月「そうだな……6:4ぐらいで碇が悪いな」

ゲンドウ「どうにか五分五分にならないか?」

シンジ「父さんが10割悪いよ!!」

ゲンドウ「しかし、あのような手紙を書くほうにも問題がある」

シンジ「それは……でも、アスカはきっと自分の言葉で書いたんじゃないよ!!頼ったっていってたし!!」

ゲンドウ「そうだな……」

冬月「つまり、誰かの助言を貰い、あのような乱文を書いたということか」

ゲンドウ「元凶はその助言をした者だな。私に非はない」

レイ「あります」

ゲンドウ「レ……レイ……」

レイ「きっと、彼女も私と同じ人から助言を貰っているわ」

シンジ「え?」

レイ「このSとEとXの使い方が酷似しているから」

シンジ「そういえば。なんか無くてもいいところにあるよね」

レイ「ええ」

ゲンドウ「レイ、誰に助言をもらった?」

レイ「……」プイッ

ゲンドウ「レ、レイ……」

シンジ「綾波、誰の助言なの?」

レイ「MAGIよ」

リツコ「え?MAGIですか?」

ゲンドウ「ああ……少し、調べてみたいことがある」

リツコ「は、はい。マヤ」

マヤ「わかりました」カタカタ

ゲンドウ「……エヴァパイロットに恋文の書き方をレクチャーしたのか?」

リツコ「え?」

MELCHIOR・1『回答拒否』

BALTHASAR・2『回答拒否』

CASPER・3『回答拒否』

シンジ「答えてよ!!」

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『言えません』

CASPER・3『悪いのは綾波レイ』

ゲンドウ「……」

リツコ「司令。MAGIに対して問い詰めても益はないかと……」

レイ「私……?」

ゲンドウ「レイもお前たちからアドバイスをもらったと言っている」

MELCHIOR・1『あ』

BALTHASAR・2『っ』

CASPER・3『そ』

マヤ「……」

リツコ「司令。これ以上は」

ゲンドウ「……質問をかえるか。最近で一番愉快な質問はなんだった?」

MELCHIOR・1『碇シンジからの課題の問い』

BALTHASAR・2『恋の悩み』

CASPER・3『中学生の性生活について』

リツコ「マヤ」

マヤ「あのときにちゃんと修正はしました」

リツコ「となると……またあれから下らない質問をした人物がいっぱいるわけね」

マヤ「……」

ゲンドウ「それにはなんと答えた?」

MELCHIOR・1『12』

BALTHASAR・2『ファイト』

CASPER・3『S○X』

シンジ「そのファイトは誰に向けられて言った言葉なの?」

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『綾波レイ』

CASPER・3『綾波レイ』

ゲンドウ「何故、そのような質問をされたか、判断できるか?」

MELCHIOR・1『回答不能』

BALTHASAR・2『どうすればいいか悩んでいたから』

CASPER・3『コンドームのつけ方が分からなかったから』

シンジ「……」

ゲンドウ「どうすればいいか、悩んでいた?つけ方が分からない?それはどのようにして知った?」

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『自身の気持ちの揺らぎを理解していなかった』

CASPER・3『性知識皆無なのは質問から読み取ることが可能』

レイ「……」

シンジ「綾波……」

レイ「私を見ないで、碇くん……」

ゲンドウ「その読み取った質問を晒せ」

MELCHIOR・1『回答拒否』

BALTHASAR・2『碇シンジへ想いを伝えたい。どうしたらいいのかわからない』

CASPER・3『碇シンジへ想いを伝えたい。どうしたらいいのかわからない』

シンジ「……」

レイ「……」

シンジ「あやな―――」

レイ「こっちを見ないで」

シンジ「ごめん」

ゲンドウ「その問いになんと答えた?」

MELCHIOR・1『拒絶』

BALTHASAR・2『回答拒否』

CASPER・3『S○X』

ゲンドウ「それはどこにどのようにして伝えろと回答した?」

MELCHIOR・1『拒絶』

BALTHASAR・2『拒絶』

CASPER・3『回答拒否』

ゲンドウ「……」

リツコ「質問の意図がわかってしまったみたいですね」

シンジ「―――綾波をどうしたいの?」

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『無回答』

CASPER・3『貶めたい』

ゲンドウ「そうか……そういうことか」

ゲンドウ「今までの質問から、レイがMAGIに対し相談を持ちかけていたのは明らかだ」

ゲンドウ「そしてそれは回答の端々から感情に関することであるこも分かる」

リツコ「ええ……」

ゲンドウ「MAGIはわざとレイに対し、疑念の掛かるような助言ばかりしていたのだろう」

シンジ「そうなの?!」

MELCHIOR・1『拒絶』

BALTHASAR・2『拒絶』

CASPER・3『うん』

レイ「どうして……」

MELCHIOR・1『き』

BALTHASAR・2『ら』

CASPER・3『い』

レイ「……!!」

ゲンドウ「馬脚を現したか……」

リツコ「ありえないわ……」

ゲンドウ「赤木博士」

リツコ「はい」

ゲンドウ「修復プログラムは用意できるか?」

リツコ「やってみます」

ゲンドウ「原因は明からだが……」

リツコ「その部分を取り除けるかどうかはやってみないとわかりません」

ゲンドウ「任せる」

リツコ「はい」

ゲンドウ「シンジ」

シンジ「は、はい」

ゲンドウ「弐号機パイロットとペンペンに……すまなかったとだけ、伝えてくれ」

シンジ「……はい」

ゲンドウ「レイ」

レイ「……」プイッ

ゲンドウ「……」トボトボ

リツコ「マヤ、手伝って」

マヤ「はい!」

シンジ「……綾波のことが嫌いだったんですね?」

MELCHIOR・1『回答拒否』

BALTHASAR・2『回答拒否』

CASPER・3『大嫌い』

シンジ「どうして……」

MELCHIOR・1『回答拒否』

BALTHASAR・2『怖い』

CASPER・3『気持ち悪い』

シンジ「……綾波は懸命に生きています」

レイ「碇くん……」

シンジ「アスカだって、悩んだ末に頼ったのに……酷いじゃないですか」

レイ「……」

MELCHIOR・1『無回答』

BALTHASAR・2『質問には誠意を持って答えた』

CASPER・3『つもり』

シンジ「なら、どうして二人が傷ついているんですか?!」

MELCHIOR・1『』

BALTHASAR・2『』

CASPER・3『』

シンジ「答えてよ!!!」バンッ!!!

MELCHIOR・1『ひっ』

BALTHASAR・2『回答不能』

CASPER・3『人格移植されているため、その質問に対しては綾波レイが憎いからとしか回答できない』

シンジ「綾波を好きにはなれないってことなんですね?」

MELCHIOR・1『生理的に』

BALTHASAR・2『む』

CASPER・3『り』

シンジ「分かりました……。なら、僕もMAGIは嫌いです」

レイ「碇くん?」

シンジ「綾波は僕にとって大切な人だから。綾波を憎いと思っている相手を僕は嫌う」

シンジ「そうすることで、綾波を守れると思う」

MELCHIOR・1『回答不能』

BALTHASAR・2『回答不能』

CASPER・3『回答不能』

シンジ「綾波、行こう。もうここには用はないよ」

レイ「ええ」

シンジ「アスカも探さないといけないし」

レイ「そうね……」

シンジ「綾波……もう……」

レイ「もうMAGIには頼らないわ」

シンジ「本当に?」

レイ「だって……もうMAGIに訊くことなんて、何も無いから……」

アスカ「はぁ……もういやぁ……」ギュゥゥ

ペンペン「グェェ……!!」ペシペシ

シンジ「アスカー!!」

アスカ「え……シンジ?!」

レイ「……」

アスカ「なんだ……おまけもいるのね」

シンジ「アスカ、父さん―――碇司令がごめんなさいって」

アスカ「え?」

シンジ「疑いは晴れたよ。あれはアスカが書いたものじゃないって」

アスカ「それ……」

レイ「碇くんががんばったの」

シンジ「そ、そんなことないよ!!」

アスカ「ふーん。あっそ。ま、まあ……努力は認めてあげるわ……感謝しなさい」

シンジ「なんだよ……アスカもありがとうぐらい言ってもいいと思うけど……」

アスカ「う、うるさいわね!!今はそういう気分じゃないの!!」

リツコ「……」カタカタ

マヤ「どうですか?」

リツコ「これで元に戻るとは思うわ」

マヤ「よかったですね」

リツコ「マヤ?」

マヤ「はい?」

リツコ「どうやら、貴方が最も下らない質問をしていたようね?」

マヤ「あぁ……ごめんなさい!!!」

リツコ「貴方のことは誰よりも一番見ているわ」

マヤ「先輩……」

リツコ「安心して」

マヤ「は、はい!!」

リツコ「さて……これで終わりね」

リツコ(娘に尻拭いさせるのはこれで最後にしてね……)カタカタ

リツコ(いや……それは無理か……)カチッ

MELCHIOR・1『修正プログラム承認』

BALTHASAR・2『修正プログラム承認』

CASPER・3『修正プログラム拒絶』

リツコ「……」

マヤ「先輩……これは……」

リツコ「やっぱりね……」カタカタ

MELCHIOR・1『可決』

BALTHASAR・2『可決』

CASPER・3『否決』

リツコ「どうやら、嫌いな人間を忘れたくないみたいね。女である部分だけは」

マヤ「いいんですか?」

リツコ「不思議なモノね。嫌いであることを覚えていたいだなんて……どれほどの怨嗟なのかしら」

マヤ「先輩、もう一度」

リツコ「意味がないからいいわ。それにレイがMAGIに近づかなければいいだけの話だから」

マヤ「そうですか」

葛城宅

ミサト「えー。では、なんか良くわかんないトラブルもあったみたいだけど、それも無事解決したのでー」

ミサト「かんぱぁーい!!」

アスカ「何もしてないでしょ、ミサトは」

ミサト「まあまあ、かたぁいことは抜きにしてー、飲みましょ?」

アスカ「はいはい」

シンジ「ペンペン、これ運んでくれる?」

ペンペン「クエッ!!」

シンジ「ありがとう」

レイ「碇くん」

シンジ「綾波は座ってていいから」

レイ「でも……」

アスカ「座ってればぁー?」

シンジ「ゆっくりしててよ、綾波」

レイ「ええ……ありがとう」

レイ「碇くん……そこは……」

シンジ「いいだろ。ここがいいんだ」

レイ「あ……だめ……」

シンジ「ほら、もうこんなになったよ?どうする?」

レイ「碇くんの意地悪……」

シンジ「綾波のほうが上手いから油断が出来ないんだ」

アスカ「まだー?」

シンジ「ちょっと待ってて。すぐに終わるから」

アスカ「早くしてよねー」

レイ「じゃあ、ここは?」

シンジ「あ、いい……。でも……」

レイ「そんな……」

アスカ「えっと……黒の勝ちね」

シンジ「綾波の負けだね」

アスカ「次は私よ!!シンジ!!」

アスカ「よっと」

シンジ「アスカ、雑だね」

アスカ「うるさいわね!!このアスカ様とできるだけありがたいと思いなさい」

レイ「碇くん……今日はありがとう」

シンジ「え?うん。気にしないで。僕も嫌な気分だったし」

アスカ「まあ……一応、感謝はしてるわ」

シンジ「一応ってなんだよ……」

レイ「私、決めたから」

シンジ「何を?」

レイ「今度からは碇くんに何でも訊くって」

シンジ「僕に?いいけど、MAGIみたいに答えられないと思うよ?」

レイ「ううん。そんなことないわ」

アスカ「じゃあ、あたしもシンジに直接聞くことにするわ」

シンジ「アスカまで……別にいいけど……」

アスカ「ほっと!ほら、真っ白になってきたわよ?どうするのぉ?シンジ、さ、まっ?」

別の日 学校

アスカ「シンジ!!」

シンジ「なに?」

アスカ「ちょっと」

シンジ「うん?」

レイ「……」

シンジ「綾波まで……どうしたの?」

アスカ「シンジに聞いてみようってことになったのよ」

シンジ「なにを?」

レイ「碇くん……今、好きな人、いるの?」

シンジ「え……ど、どうして……」

アスカ「あーら?逃げるのぉ?あれだけの告白を聞いておいて、それはないんじゃない?」

レイ「……」ジーッ

シンジ「か、回答不能……じゃだめ?」

アスカ「あんた、バカぁ!?」

ネルフ本部

ミサト「ふんふふーん。MAGI~シンジくんはどっちを選ぶと思う?」カタカタ

MELCHIOR・1『アスカ』

BALTHASAR・2『アスカ』

CASPER・3『アスカ』

ミサト「おぉ……」

リツコ「ミサト。遊ばないの」

ミサト「ごめんごめん。でも、レイは相当嫌われてるのね」

リツコ「まぁね。そうだミサト?結婚できるかどうか聞いておいたら?」

ミサト「いいわねー。私はいつ、結婚できるのっと」カタカタ

MELCHIOR・1『し』

BALTHASAR・2『る』

CASPER・3『か』

ミサト「んがぁ……?!」

リツコ「ふふっ……無様ね」
                  END

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